今回は韓国で「死ぬまでに必ず読みたい本」と言われている
大河小説「토지」の紹介です。

韓国の文豪、朴景利により1969年から1994年まで25年にわたって書かれた大河小説。
韓国文学界で「記念碑的作品」といつも形容されている「土地」は韓国のロングセラー。
映画やドラマ、漫画にもなり、韓国人なら誰でも知っている全20巻の壮大な長編小説です。

が放送された
小説は1部から5部までの構成になっており、1部は英語、フランス語、ドイツ語、中国語、ロシア語に翻訳され、日本でも1980年代に福武書店が第1部を出版していたそう。
全20巻の完訳は世界初!!
日本語版が初めて!!

クオン金承福代表
韓国語学習者にはおなじみの
韓国専門書店 CHEKCCORI(チェッコリ)を運営しているのが出版社クオン。
金承福代表が「土地」の完全翻訳を決心したのは「出版社の成長戦略のため」だったそう。
韓国の作家たちが無名の日本の出版社に作品を預けるのを不安がったからだ。
2014年の初夏、あふれる思いを胸に朴景利先生の墓前を訪ね翻訳の決心を報告、2016年には1巻と2巻の同時刊行、2024年についに20巻の完全翻訳・刊行に至ります。

ーハンギョレ新聞社ー
韓国近代文学専攻・文学博士の吉川凪(よしかわなぎ)さんは
「売れる確信が無いので何度も断ったが、金社長には日本語の遠回しな断りが通じなかった。あまりにしつこかったので、思わずうんと言っていた」
「共訳は気が進まなかったが途中で病気になって倒れるかもしれないので共訳することに」
韓国語を専攻し読売新聞社の記者を経て翻訳者になった清水知佐子(しみずちさこ)さんは
「物事を広く見る目が養われた(朝鮮半島、東京、満州、沿海州と物語の舞台のスケールが大きい事と関係しているだろう)人を多面的、重層的に見られようになった(700人ともいわれる登場人物の際立ったキャラクターのおかげだろう)粘り強く何かを問いかけることの大切さに気づいた(25年にわたって、人はどう生きるべきかを追求してきた作家の姿から学んだのだろう)…」と語っています。

朝鮮半島の文学に詳しい文芸評論家の川村湊さんは
「もともと韓国で主流だったのは、圧政や政権への抵抗を描く骨太の歴史小説だった。ただ、作品のほとんどは男性作家によって書かれ、女性は「夫や息子を支えるオモニ(母)」といった役割で描かれがちだった」
「朴景利は、意志の強い女性を主人公に「女性や底辺の人々から見た世界を丁寧に描き、男性作家が描く世界に『異論』を打ち出した」と。
読者の一人は「小説の多くの登場人物が人生の尊さ、忘れてはならない日韓の歴史について教えてくれる。座右の銘として繰り返し読むつもり」と感想を述べています。

韓国の書店で「土地」を見るたびに手に取り、買おうか買うまいかいつもぐずぐず。
「20巻…ながっ! 地理や歴史の知識も薄っぺらいのに、固有名詞も、方言も容赦なくハングルだけで表記されてるし!無理!…」と諦めていた「土地」
新聞紙上で目にした「土地」完訳の記事にも
「20巻全部揃えたらいったいいくらになる?高っ!!」
とまたぐずぐずしてたら、
なんと!!
HANAの生徒さんのご家族が教室に寄贈してくださいました!!

最後まで読み切れるだろうか…と迷子にならないように登場人物をメモしながら恐る恐る読み始めましたが、
なんと!するする読み進める!面白い!え?展開の早いドラマを見ているみたい~
そういえば金承福代表が
「不倫も復讐もあって現在の韓流ドラマの原型がつまっている魅力を紹介したい思いもあった」とインタビューに答えていました。
3巻まで読んだのですが前述にある通りキャラクターの濃い女性たちが生き生きと登場します。
そういえば、作家も出版社代表も翻訳者もみ~んな女性ですね(笑)
興味ある方はお知らせください!!